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唐草の微睡み
第9章 月夜の晩に
「花凛!着替えたか?」
寝室の扉の向こうから龍星の声が聞こえる。
「ち、ちょっと待って!」
「遅いっ!」
「女は準備に時間がかかるのっ!」
「早くしろっ!」
(もぅ!なんなのよ!)
花凛はだんだん腹が立ってきた。
バターン!
勢い良く扉を開ける。
はっきり言って八つ当たりだ。
「できたわ!お待たせしました!」
快活な花凛に裾の短い水色の小花模様の衣装は良く似合っており、龍星は思わず、
「お前…可愛いな…。」
見とれてしまった。
「バカっ!」
花凛は照れ隠しに、ちょっと膨れっ面をする。
「おい花凛、これを履いていけ。」
龍星が差し出したものは、紺色の小さな靴であった。
その靴は、衣装と同じ可愛らしい小花模様の刺繍が施されており、花の中心にはキラキラと光る石が埋め込まれていた。
一見すると普通の靴ではあったが、光にかざすと複雑な光りを発し、石のひとつひとつが金剛石とも言われるダイヤモンドであることが分かる。
「可愛いっ!!」
さっきまで腹を立てていたのに、その靴を見た瞬間、花凛の顔が笑顔になる。
花凛の今履いている靴は、豪華な刺繍が施されて美しいものではあるが、華奢なつくりで、とても街中を歩き回れる代物ではなかった。
「これ、私に?」
「あぁ。花凛にだよ。」
「ありがとうっ!こんな高価なもの…貰って良いの?!」
「そこまででもないよ。」
花凛が余りにも嬉しそうなので、龍星は照れ隠しに少しぶっきらぼうに答えた。
寝室の扉の向こうから龍星の声が聞こえる。
「ち、ちょっと待って!」
「遅いっ!」
「女は準備に時間がかかるのっ!」
「早くしろっ!」
(もぅ!なんなのよ!)
花凛はだんだん腹が立ってきた。
バターン!
勢い良く扉を開ける。
はっきり言って八つ当たりだ。
「できたわ!お待たせしました!」
快活な花凛に裾の短い水色の小花模様の衣装は良く似合っており、龍星は思わず、
「お前…可愛いな…。」
見とれてしまった。
「バカっ!」
花凛は照れ隠しに、ちょっと膨れっ面をする。
「おい花凛、これを履いていけ。」
龍星が差し出したものは、紺色の小さな靴であった。
その靴は、衣装と同じ可愛らしい小花模様の刺繍が施されており、花の中心にはキラキラと光る石が埋め込まれていた。
一見すると普通の靴ではあったが、光にかざすと複雑な光りを発し、石のひとつひとつが金剛石とも言われるダイヤモンドであることが分かる。
「可愛いっ!!」
さっきまで腹を立てていたのに、その靴を見た瞬間、花凛の顔が笑顔になる。
花凛の今履いている靴は、豪華な刺繍が施されて美しいものではあるが、華奢なつくりで、とても街中を歩き回れる代物ではなかった。
「これ、私に?」
「あぁ。花凛にだよ。」
「ありがとうっ!こんな高価なもの…貰って良いの?!」
「そこまででもないよ。」
花凛が余りにも嬉しそうなので、龍星は照れ隠しに少しぶっきらぼうに答えた。