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唐草の微睡み
第9章 月夜の晩に
「よし!行くぞ!」

龍星は花凛の手を取り、勢いよく部屋を飛び出した。

(龍星、子供みたい。)

ふふふっ!と花凛が笑う。

「なんだ?なんで笑ったんだ?」

「ううん。なんでもないわ。なんかこうやって手を繋いで…。子供のころに戻ったみたいね。」

「そうだな。」

龍星と一緒に宮廷の中をどう歩いたかは分からないが、2人は地下を流れる水路の前に辿り着いた。

「宮廷に地下があって水路が通っているなんて知らなかった。」
2人の前には庶民が川で小魚でも捕る時に使うような粗末な小船が一艘繋いである。

「ここから船に乗って外に出れば斎真にもバレない。」
今の龍星の顔は、子供のころ一緒に悪戯をしていた時と全く同じだ。

「さぁ、乗れ。」
龍星が先に乗り込み、花凛の手を引く。

「大丈夫か?気を付けろよ。」

花凛が乗り込むと、
「花凛、外に出るまで伏せていろ。」

と命令して、櫓を器用に使い船を漕ぎだした。

(この人、こんなことまで出来るの?呆れた。そんな皇帝見たことない。)

花凛は感心する反面、そんなことを思いながら船底に身を伏せてじっとしていた。
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