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唐草の微睡み
第9章 月夜の晩に
「か…花凛。この先に俺が街に来たらいつも行く、うまい店があるんだ。今から行ってみないか?」

機嫌を取るように花凛の顔を覗き込みながら言う。

「美味しい店?!行きたい~~♪」

「じゃ、行くか!」
花凛と龍星はそろって店を出た。

(良かった。怒ってない。しかし、食い物で機嫌直すって…。こいつ将来太ったりしないだろうな~)
上を見ながらそんなことを考えていると。

「龍星~。何考えてるの~~!」
やや怒気を含んだ花凛の声が、下から聞こえてきた。

「い…いや、何も。いや…何食べようかな~なんて…」

「ふーん。そんなに美味しいんだ。そのお店。楽しみだなぁ♪」

(良かった…うまく誤魔化せた。しかし、鋭いな、こいつ。下手な隠し事とかしないでおこっと…。後が恐いし…。)



「おっ!着いた着いた!こここ」
その店は、真っ赤な提灯をたくさんぶら下げた、大きな店だった。
百以上はある提灯に照らされたそのお店は、明るい往来の中でもひときわ目立っている。
中を覗くと、大勢の人が卓を囲んで楽しそうにしている。

「すごーいっ!ド派手な店。なんのお店なの?」

「点心♪俺、大好物なんだよね。」

(ふーん。そういや、私龍星の好きな食べ物知らなかったなぁ。)

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