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唐草の微睡み
第9章 月夜の晩に
「日観様、お久しぶりです。お元気そうで何よりです。」
「龍星様!ようこそおいでなさいました。また、一段とご立派になられて。」
ふと、後ろに控える花凛を見て、
「龍星様。そちらのお嬢様は?」
龍星は小さく「あぁ」と言って、
「花凛という。14日後に俺の后になる。大切な人だよ。花凛、このお方が日観和尚だ。昔から俺に学問の手解きをしてくれている。」
と、お互いを紹介してくれた。
「はじめまして、日観様。花凛と申します。」
花凛は丁重に頭を下げた。
「美しいお嬢様ですな。龍星様とお似合いですぞ。」
嬉しい言葉に、花凛はちょっとにっこり笑った。
「花凛。日観様はね、俺の父と叔父上の学問の師匠でもあるんだよ。」
「まぁ!私のお父様の?!」
「お父様?…と言うことは、花凛様はあの…」
「そうなんだ。花凛は俺の従妹でもあるんだよ。」
「そうでございましたか…」
日観は感慨深そうに言葉を詰まらせて、
「それは…それは…」
昔の事を思いだしているのか、遠くを見つめて涙を浮かべている。
「…いけませんな。年を取ると涙もろくなってしまいます。」
「あれですな。もう思い残すことは無い、いつでも冥土行けると思っておりましたが、お2人がご婚礼と聞いて、お2人のお子にも学問の手解きをしたいという欲が湧いて来ましたわい。」
(子供って…)
花凛は少し顔を赤くした。
「おいおい。その頃、師匠は幾つになっておられるのだ?」
「そうですな。幾つなんでしょうな。」
あっはっはっはっ!
夜中の寺に2人の笑い声がこだまする。
「龍星様!ようこそおいでなさいました。また、一段とご立派になられて。」
ふと、後ろに控える花凛を見て、
「龍星様。そちらのお嬢様は?」
龍星は小さく「あぁ」と言って、
「花凛という。14日後に俺の后になる。大切な人だよ。花凛、このお方が日観和尚だ。昔から俺に学問の手解きをしてくれている。」
と、お互いを紹介してくれた。
「はじめまして、日観様。花凛と申します。」
花凛は丁重に頭を下げた。
「美しいお嬢様ですな。龍星様とお似合いですぞ。」
嬉しい言葉に、花凛はちょっとにっこり笑った。
「花凛。日観様はね、俺の父と叔父上の学問の師匠でもあるんだよ。」
「まぁ!私のお父様の?!」
「お父様?…と言うことは、花凛様はあの…」
「そうなんだ。花凛は俺の従妹でもあるんだよ。」
「そうでございましたか…」
日観は感慨深そうに言葉を詰まらせて、
「それは…それは…」
昔の事を思いだしているのか、遠くを見つめて涙を浮かべている。
「…いけませんな。年を取ると涙もろくなってしまいます。」
「あれですな。もう思い残すことは無い、いつでも冥土行けると思っておりましたが、お2人がご婚礼と聞いて、お2人のお子にも学問の手解きをしたいという欲が湧いて来ましたわい。」
(子供って…)
花凛は少し顔を赤くした。
「おいおい。その頃、師匠は幾つになっておられるのだ?」
「そうですな。幾つなんでしょうな。」
あっはっはっはっ!
夜中の寺に2人の笑い声がこだまする。