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唐草の微睡み
第9章 月夜の晩に
「して、龍星様。こんな夜更けにどうなさったんじゃ?」

「あぁ、そうそう。花凛と月を見たくて。庭の東屋をお貸しいただけないでしょうか。」

「今宵は月が美しく輝いておりますからな。どうぞどうぞ。ご自由にお使いください。」

「ありがとうございます。こんな夜中に申し訳ありませんでした。」


「いやいや。今日は龍星様の后となるお方にもお会い出来て楽しかった。長生きするのも良いものですな。」

「日観様にはもっと長生きしていただかなくては。」
龍星は、子供のような顔でにっこり笑い、
「では、失礼します。」
と、日観の部屋を後にした。


花凛と龍星は庭の回廊を歩いている。
回廊からも煌々と光る月が見えて、回廊沿いの草木を照らしている。


静まり返った空間に、虫の音と2人の足音だけが響く。


淡く光る草木の輪郭。
心地よくそよぐ風。
妖しく光る回廊の石畳。


花凛はその美しさに見とれていた。

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