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あの海の果てまでも
第5章 秋桜の涙 〜暁礼也のモノローグ〜
「…生田…?」
「気づいておりました。
…お二人は…深く愛し合っておられました」

礼也の眼の色が変わる。
「いつからだ?
暁が何歳からだ?」
「…17歳になられた時からかと存じます」
「17歳⁈
それからずっとか⁈
春馬が結婚してからもか⁈」
不倫だったのかと礼也に詰め寄られ
「いいえ。
…詳しくは存じませんが、おふたりがお別れになってから大紋様のご結婚が決まられたご様子です」
きっちりと否定する。

「生田!
なぜ私に告げなかった!
お前は告げるべきだった。
よりによって私の親友と…そんな…10年以上も秘密の関係を続けていたなど…!」

語気を強める礼也に、生田は深々と頭を下げる。
「申し訳ございません。
申し開きはいたしません。
すべて私の独断の行動でございます」

…ただ…
生田は静かに貌を上げた。
「…暁様は礼也様だけには知られたくないと思っておいでかと拝察いたしました。
もし、礼也様に知られたら、何をなさるか…。
私はそれが怖かったのでございます」

「…生田…」
この、誰よりも暁を可愛がっていた老執事には何よりの恐怖に違いなかった。
彼はずっと苦しんでいたのだ。
…責めることはできない。

礼也は生田の頑強な制服の肩に、そっと手を置いた。

「…すまなかった…。
思わず取り乱してしまった。
乱暴な物言いをしてしまったね。
許してくれ」

生田は首を振り、初めて声を振るわせた。
「いいえ、いいえ。
とんでもございません。
礼也様が、どれだけ暁様を大切に愛おしく思われているか…恐れながら私は誰よりも理解している自負がございます。
私の方こそ、もっと暁様にして差し上げられたことはあったのではないかと、日々悔いております」

礼也はゆっくりと窓辺の長椅子に腰掛ける。

…そうして…

「…生田…。
…暁と春馬は…その…どんな関係だったのだ。
…私は全く気づかなかった…」
弱々しい言葉を放った主人に、老執事は恭しく…愛をこめて答えた。

「…私が今まで拝見したどのご夫婦や恋人より、誰よりも深く、深く愛し合っておられました。
お別れになったのは…やむにやまれぬご事情がお有りだったのでしょう。
…そうでなければ…」
苦しげに首を振る。

そして、力強く付け加えた。

「…大紋様とご一緒におられる暁様は、いつもお幸せそうで、眩しいほどにお美しかったのです」



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