この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
あの海の果てまでも
第1章 運命の舟
礼也は暁にとって絶対的な太陽のような存在だ。
暁の窮地を救い、更に自分を縣家に引き取り、最高の教育を与え、育ててくれた優しい兄…。
礼也が居なかったら、今頃暁はこの世に存在していないかもしれない。
恩人であり、自分に輝かしい人生を与えてくれたひと。
美しく強く優しく頼もしい、特別なひと。
言葉に言い表せないくらいに、大好きなひと。
…そのひとは今、どれだけ自分に失望していることだろうか。
弟が自分の親友と、駆け落ちしてしまったのだ。
…同性同士の道行き…。
縣家は、前代未聞のスキャンダルに晒されているのではないだろうか。
…兄さん…。
苦しい想いに心を震わせている暁の手が、温かく握り締められた。
はっと貌を上げると、隣席の大紋が優しく微笑んでいた。
…そうして、はっきりとテーブルに着いている全員に聞こえるように、毅然として言い放ったのだ。
「申し訳ありません。Mr.ブライアン。
夜のダンスパーティーでお嬢様と踊ることは出来ません。
…彼が私の大切な、最愛の恋人だからです」
暁の窮地を救い、更に自分を縣家に引き取り、最高の教育を与え、育ててくれた優しい兄…。
礼也が居なかったら、今頃暁はこの世に存在していないかもしれない。
恩人であり、自分に輝かしい人生を与えてくれたひと。
美しく強く優しく頼もしい、特別なひと。
言葉に言い表せないくらいに、大好きなひと。
…そのひとは今、どれだけ自分に失望していることだろうか。
弟が自分の親友と、駆け落ちしてしまったのだ。
…同性同士の道行き…。
縣家は、前代未聞のスキャンダルに晒されているのではないだろうか。
…兄さん…。
苦しい想いに心を震わせている暁の手が、温かく握り締められた。
はっと貌を上げると、隣席の大紋が優しく微笑んでいた。
…そうして、はっきりとテーブルに着いている全員に聞こえるように、毅然として言い放ったのだ。
「申し訳ありません。Mr.ブライアン。
夜のダンスパーティーでお嬢様と踊ることは出来ません。
…彼が私の大切な、最愛の恋人だからです」