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あの海の果てまでも
第6章 秋桜の涙 〜絢子の告白〜
「障害馬術はご存知?」
雪子が手を引きながら尋ねる。
「いいえ。私、馬術は全く知らないの」
「馬術競技には大きく分けて2種類あるの。
馬場馬術と障害馬術ね。
馬場馬術…ドレッサージュはいかに正確に美しく馬を運動させるかを競う競技。
障害馬術はその名の通り、障害物やバーを飛び越えて速さを競う競技よ。
お兄様は障害馬術に出られるの。
…本当はお兄様はクロスカントリーがお得意なのだけれど、日本ではまだ馴染みがないのよね」
「クロスカントリー?」
「水濠や池など自然の中で競い合う競技よ。
広大な敷地で行うから3日くらいかかるのですって。
お兄様は英国ではよくクロスカントリーをされてたそうなの」
「…英国…」
「お兄様は英国のケンブリッジ大学に法科留学されていたの。
だから馬術は英国仕込みなのよ」
雪子は嬉しそうに語る。
自慢の兄なのだろう。

…英国のケンブリッジ大学…馬術が得意な弁護士さん…。
ハイカラな自由な雰囲気が感じられる。
絢子が今まで会ったことのない人物だ。
絢子の父親は古風で昔ながらの日本の文化を大切にする九州男子だ。
親戚や知人の青年たちも、保守的で貴族の家名や矜持を何より重んじる人間ばかりだ。

…どんな方なのかしら…。

雪子と共に見学の柵の前に着く。
周りは人々の歓声と拍手に包まれ、レースの熱気が肌で感じられた。
その高揚感は絢子にも伝わって来る。
わくわくするような感情は初めてだ。

雪子が絢子の振袖の袖を引く。
「次よ。お兄様が出るレースが始まるわ!
あ!いたいた。
絢子さん。
あの選手がお兄様よ」

雪子の指差す方向を、絢子は見遣った。


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