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あの海の果てまでも
第6章 秋桜の涙 〜絢子の告白〜
楓の樹の下、絢子は息を詰めて男の所作を受けていた。

…背後に、逞しくも温かな成人男性の体温と存在を感じる。

ふわりと漂う森林の清しい薫り…。
バリトンの美しい声…。

「…折角綺麗なお着物を着ていらっしゃるのだから、思い切ってお髪を上げてみましょうか?
下ろしていらっしゃると、折角の肩のお柄が見えにくい。
…秋桜がとても綺麗ですね。
良いお柄だ」
着物を褒めて貰え、絢子は嬉しくも恥ずかしく、白い頸を朱に染める。
「…恐れ入ります…」
…つまらない返事しかできないのも情けない。

…男の大きな手が、絢子の髪を優しく梳き上げる。

絢子は思わず眼を閉じた。

…ああ…。
その指先の優しさ、温かさ…。
生まれて初めて受ける身体が震えるほどの熱い感情に、絢子は包まれる。

「高い位置で髪を結われるのもお似合いだと思いますよ。
絢子さんはお顔が小さいから」
男はなかなかに美意識が高いようだ。
女性の着物や髪型に詳しく、情熱を込めて語る男に絢子は初めて出会った。

絢子の周りには「女子の服飾や髪型に興味を持つなど軽薄で男らしくない」と思っているような旧態依然な男たちが多かったのだ。

「お兄様は実はお手先が器用なのよ。
あら、その髪型すごく素敵だわ!」
雪子が生き生きと声を上げる。

春馬は話しながら手早くリボンをきゅっと結ぶ。
「馬の尻尾…ポニーテールと言うのですよ。
今欧米で若いご婦人たちに人気の髪型です。
…ああ、やはり良くお似合いだ。
とても可愛らしいですよ。絢子さん」

…そう言って、絢子に優しく微笑んだのだ。

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