この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
あの海の果てまでも
第6章 秋桜の涙 〜絢子の告白〜
「まあ!本当に良くお似合いだわ。絢子さん!
とても現代風で素敵!」
雪子が褒めそやす。
「ねえ、お兄様!
絢子さん、とってもお綺麗よね?」

春馬は腕を組み、絢子の髪型を見回しながら微笑んだ。
「本当に、お可愛らしくお似合いですよ。
絢子さんのように清楚な方はこれくらいモダンな髪型をなさっても上品でよろしい」

春馬の褒め言葉はとても紳士的だ。
そこに仇めいたものは何もない。
…本当に誠実なお方なのだわ…。
益々惹かれてしまう自分を感じる。

「…あの…。
ありがとうございます…」
絢子は羞恥の余り、蚊の鳴くような声で礼を言うことしか出来ない。
自分はなんと詰まらない人間なんだろう。
自己嫌悪に陥る。

「ねえ、お兄様。
このあと、私と絢子さんにディナーをご馳走してよ。
帝国ホテルのグリルが良いわ。
私、あそこの鴨が食べたいの」
雪子はずけずけとした物言いで春馬にねだる。

「…そんな…私はもうお暇しますわ…」
慌てて雪子の袖を引いて止めようとするも
「いいじゃないの。ご一緒にディナーをいただきましょうよ」
雪子は意に介さずだ。
困ったように口籠る絢子に、春馬は苦笑する。
「雪子はいつもこんな風に絢子さんに我儘を言っているのでしょうね。
申し訳ありません」
「い、いいえ、そんな…」
「我儘じゃあないわ。
お兄様の大会二位のお祝いをして差し上げるのよ」

…やれやれ…と、春馬は口ほどには嫌そうではなく肩を竦めて見せた。

「生憎、夜は予定があってね。
けれど、折角ですからこちらの倶楽部のカフェで珈琲でもご一緒にいかがですか?
…カフェのザッハトルテは絶品ですよ?」

優しい眼差しで見つめられ、絢子はぼうっとなりながら小さく頷いていたのだ。

/230ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ