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あの海の果てまでも
第6章 秋桜の涙 〜絢子の告白〜
「お兄様、絢子さんのお隣に座って。
私、そちらだと西陽が眩しくて」
雪子はさり気なく春馬を絢子の隣に座らせた。

絢子の隣のソファに腰掛けながら
「…我儘なお姫様だ…。
絢子さん、妹のお守りは疲れませんか?
学校でもこの調子なんでしょう?」
柔かな笑みを向けられ、絢子は白い頸を桜色に染める。

「…い、いいえ。
雪子様は、とてもご闊達で朗らかでスポーツもお勉強も優秀でクラスでも人気者でいらっしゃいます。
何も取り柄のない私とは大違いです。
ですから私などと仲良くしていただけて、本当に光栄です」
…本当にそう思う。
才色兼備で活発で常に人を惹きつける魅力をもつ雪子がよく自分を友達に選んでくれたものだと、未だに思うからだ。

すると春馬は絢子の眼をじっと見つめた。
そうして、優しいけれどもきっぱりとした物言いで告げた。
「そんなふうに仰らないでください。
絢子さんはとても素晴らしいお嬢様なのに」

「…え?」
思いがけない言葉に驚き、思わず眼を上げた。

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