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あの海の果てまでも
第6章 秋桜の涙 〜絢子の告白〜
「雪子のお裁縫をいつも手伝ってくださるのでしょう?
この間、雪子が着ていたワンピースは絢子さんに作っていただいたのでしょう?
とてもお上手にできていて、驚きました。
しかもワンピースの襟ぐりや袖口のカッティングのセンスが素晴らしかったですよ。
絢子さんは綺麗な物を作る才能をお持ちですね」

…それに何より…
と、春馬は更に慈愛に満ちた表情で告げた。

「友達を助ける無償の優しさに僕は感動したのです。
普通は自分のことで精一杯で、いくら友達でもそこまで親切に丁寧に作品を仕上げたりしないでしょう。
けれど、絢子さんは何の見返りも求めずに雪子を手伝ってくださった。
貴女は本当に優しい素敵なお嬢さんです。
その優しさは、何よりも尊い貴女の美徳だと僕は思うのですよ」

「…大紋様…」
絢子は胸が一杯になり、それ以上何も返すことが出来なかった。

自分のことをこんな風に認めてくれたひとはかつていなかったからだ。

両親はただただ絢子を溺愛し、未熟なことすら純粋で可愛いと褒めそやした。
他人は絢子の大人しくて従順な性格に対して、きっと貞淑な良い妻になるだろうと、上部だけの賛辞を送ってきた。

…こんな風に…私を認めてくださったのは、この方だけだわ…。

泣きたいほどの感激に打ち震える絢子に、春馬はにっこりと笑った。

「春馬で良いですよ。
絢子さん。
貴女は雪子の大切なお友達です。
これからも雪子をどうぞよろしくお願いします」

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