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あの海の果てまでも
第6章 秋桜の涙 〜絢子の告白〜
「ま、まあ…そんな…」
絢子は自分のことのようにどぎまぎとした。
…実の兄の前で恋心を告白するなど、雪子の大胆さには、本当に驚かされる。
それに、縣暁という青年は春馬の知己らしい。
気まずくはないのだろうか?
気を揉んでいると、春馬は苦笑混じりに首を振った。
「やれやれ。絢子さんが驚かれているじゃないか。
はしたないぞ、雪子」
「あら、女性だってこれからは自分からどんどん愛をアピールしなくてはならない時代だわ。
大人しく求愛されるのを待っているなんてナンセンスよ。
ねえ?絢子さん」
「…さ、さあ…よく分からないわ…」
…自分から告白する…。
そんなこと、自分には到底不可能に思える。
この男の隣に座っているだけで、倒れそうなほどの緊張感と幸福感に包まれているのだから…。
「僕もその夜会には招待されているよ。
父様がホテル・カザマの顧問弁護士だからね。
父様は夜会嫌いでいらっしゃるから僕が名代で行くことになるだろうな。
…暁ももちろん招待されてはいるだろうけれど…。
…行くかどうかは分からないな。
暁も今、忙しいからね」
淡々と…と言った風に答える春馬は、随分縣暁という青年と親しいようだった。
青年の兄と親友で家庭教師をしていたほどだから、きっと旧知の仲なのだろう。
「え!!お兄様も行かれるの⁈
じゃあお兄様、暁様を連れだしてよ!
お願いお願い!!」
雪子が猛烈な勢いで拝み倒した。
「無理を言うな。
暁は今、新しい店のオープンで休日返上で働いているんだ。
気の張る夜会に引っ張り出すのは可哀想なんだよ」
「でも、風間様の御子息は暁様の学院の先輩でしょう?
全然気なんか遣われないわよ。
あの御子息、すごく社交家で楽しい方だもの」
…それにすごくハンサムなの!
確かロシア系のクォーターの方よ。
私のクラスでもお熱を上げてる方がいらっしゃるもの…。
雪子が生き生きと絢子に説明する。
「全く勝手な奴だなあ。
…分かったよ。暁に聴いてみよう」
やれやれ…と春馬は降参したかのように両手を広げた。
絢子は自分のことのようにどぎまぎとした。
…実の兄の前で恋心を告白するなど、雪子の大胆さには、本当に驚かされる。
それに、縣暁という青年は春馬の知己らしい。
気まずくはないのだろうか?
気を揉んでいると、春馬は苦笑混じりに首を振った。
「やれやれ。絢子さんが驚かれているじゃないか。
はしたないぞ、雪子」
「あら、女性だってこれからは自分からどんどん愛をアピールしなくてはならない時代だわ。
大人しく求愛されるのを待っているなんてナンセンスよ。
ねえ?絢子さん」
「…さ、さあ…よく分からないわ…」
…自分から告白する…。
そんなこと、自分には到底不可能に思える。
この男の隣に座っているだけで、倒れそうなほどの緊張感と幸福感に包まれているのだから…。
「僕もその夜会には招待されているよ。
父様がホテル・カザマの顧問弁護士だからね。
父様は夜会嫌いでいらっしゃるから僕が名代で行くことになるだろうな。
…暁ももちろん招待されてはいるだろうけれど…。
…行くかどうかは分からないな。
暁も今、忙しいからね」
淡々と…と言った風に答える春馬は、随分縣暁という青年と親しいようだった。
青年の兄と親友で家庭教師をしていたほどだから、きっと旧知の仲なのだろう。
「え!!お兄様も行かれるの⁈
じゃあお兄様、暁様を連れだしてよ!
お願いお願い!!」
雪子が猛烈な勢いで拝み倒した。
「無理を言うな。
暁は今、新しい店のオープンで休日返上で働いているんだ。
気の張る夜会に引っ張り出すのは可哀想なんだよ」
「でも、風間様の御子息は暁様の学院の先輩でしょう?
全然気なんか遣われないわよ。
あの御子息、すごく社交家で楽しい方だもの」
…それにすごくハンサムなの!
確かロシア系のクォーターの方よ。
私のクラスでもお熱を上げてる方がいらっしゃるもの…。
雪子が生き生きと絢子に説明する。
「全く勝手な奴だなあ。
…分かったよ。暁に聴いてみよう」
やれやれ…と春馬は降参したかのように両手を広げた。