この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
あの海の果てまでも
第6章 秋桜の涙 〜絢子の告白〜
「え?」
絢子は驚きに瞳を見張った。
「白戸、ワルツが踊れるの?」

白戸の白皙の貌にやや照れたような色が浮かぶ。
「大学祭での余興に駆り出されて仕方なく練習しました。
上手くはありませんが、型はマスターしました。
男性を相手に練習された方がコツは掴みやすいかと存じます」

真面目で器用な白戸らしいと絢子はにっこりと笑い返した。
「それはそうよね。
ありがとう、白戸」
…ダンス教師は優しいが女性なので正式に男女で組むワルツの感覚が分かりづらかったのだ。

絢子は白戸の手を握り締める。
彼の手がびくりと小さく震えた。

「ごめんなさい。
痛かったかしら?」
爪が当たったのかと心配する。

「…いいえ。大丈夫です。
失礼いたしました」
やや硬った声で答えると、白戸はそのまま絢子の手を恭しく握り直した。

…引き寄せられ、白戸の手がしなやかに絢子のほっそりとした腰を抱く。
長身の白戸の引き締まった腕の中に、小柄な絢子はすっぽりと抱き込まれる。

…白戸ってこんなに背が高かったのね…。
改めて男の体格の逞しさに気づく。

「…ワンツースリー、ワンツースリー…。
…そう。男性がリードするのでお嬢様はそのまま力を抜いて踊られて良いのです。
お上手ですよ、お嬢様…」

白戸のリードは驚くほどに上手かった。
男性と踊るのは初めてだが、絢子のタイミングや呼吸に合わせてリードしてくれるので、軽やかに踊れるのだ。

「白戸が上手だからだわ。
貴方はなんでも出来るのね」
苦手だったターンにも余裕が生まれた嬉しさに、絢子は白戸に笑いかけた。

白戸は眩しげに端正な眼を細めた。

…そうして、少し遠慮勝ちに口を開いた。

「…夜会では、大紋様と踊られるのですか?」




/230ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ