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あの海の果てまでも
第6章 秋桜の涙 〜絢子の告白〜
「…え…?」
思わず脚を止める絢子を白戸はじっと見つめる。
「大紋様と踊られるためにワルツのレッスンをなさっているのでしょう?」
「…それは…」
恥じらいながら口籠る。
「…お嬢様は大紋様がお好きなのですか?」
真っ直ぐに見つめられ、一瞬口籠もり、けれど絢子は小さく頷いた。

「…ええ。
好きだわ。
…初めてお会いして、すぐに好きになるなんておかしいかしら?」

白戸の瞳が微かに寂しげに微笑む。
「…いいえ。
そうは思いません」

その言葉に力を得て、絢子はこの胸に溢れる甘く切ない思いを吐露する。
兄のように友人のように教師のように信頼している白戸には正直な気持ちを打ち明けられるのだ。

「…ねえ、白戸。
こんなに胸が苦しいのは…恋なのかしら?
これが恋なのかしら?
私、初めて恋をしたのかしら…?」

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