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あの海の果てまでも
第6章 秋桜の涙 〜絢子の告白〜
一呼吸ののち、静かに白戸が答えた。

「…きっと、そうなのでしょうね…」

「こんなにも生き生きとしたお嬢様のお貌を、私は初めて拝見いたしましたから…」
「…え?」
長い睫毛を瞬く絢子に、白戸は優しく微笑む。
「…お美しいです。お嬢様。
お嬢様をこんな風に輝かせる大紋様は…やはり特別な方なのでしょうね…」
微かに寂しげな色が、白戸の端正な貌に刷かれる。

「…白戸…」

…繋がれていた手がそっと離される。

白戸は恭しく一礼をすると、そのまま背を向け中庭を後にした。


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