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あの海の果てまでも
第6章 秋桜の涙 〜絢子の告白〜
…ああ、この方が…。
と、絢子は合点が行った。
以前、雪子が話していた憧れの青年はこの縣暁という人物だったのだ。
ひと目で分かった。
このまるで絵画から抜け出して来たような稀有な美貌と周りの雰囲気も変化させてしまうような聖なる…そしてそれとは裏腹にどこか艶めいた美しい青年を絢子は生まれて初めて見たからだ。
「こら、雪子。はしたないぞ」
春馬が苦笑しながら雪子を嗜める。
「だって、本当ですもの。
私、暁様とお会いした12歳の時からずっと貴方に夢中なのよ」
雪子は堂々と青年への愛を語り、そのほっそりとした長い腕を握り締めた。
公衆の面前で、女性から男性の腕を抱き寄せるなど、あり得ない行為も、美人で闊達な雪子が行うと少しも下品ではない。
寧ろ進歩的な女性の印象が昂まり、周囲からは羨望の眼差しが集まっているほどだ。
「…弱ったな…。
雪子さんには敵わないな」
…青年、縣暁はその切れ長の美しい瞳を細めながら困ったように笑った。
笑うとやや寂しげな美貌が、煌めくように輝いた。
微笑んだその視線が、絢子を静かに捉えた。
…彼はそのまま優しく尋ねた。
「…雪子さんのお友達ですか?」
と、絢子は合点が行った。
以前、雪子が話していた憧れの青年はこの縣暁という人物だったのだ。
ひと目で分かった。
このまるで絵画から抜け出して来たような稀有な美貌と周りの雰囲気も変化させてしまうような聖なる…そしてそれとは裏腹にどこか艶めいた美しい青年を絢子は生まれて初めて見たからだ。
「こら、雪子。はしたないぞ」
春馬が苦笑しながら雪子を嗜める。
「だって、本当ですもの。
私、暁様とお会いした12歳の時からずっと貴方に夢中なのよ」
雪子は堂々と青年への愛を語り、そのほっそりとした長い腕を握り締めた。
公衆の面前で、女性から男性の腕を抱き寄せるなど、あり得ない行為も、美人で闊達な雪子が行うと少しも下品ではない。
寧ろ進歩的な女性の印象が昂まり、周囲からは羨望の眼差しが集まっているほどだ。
「…弱ったな…。
雪子さんには敵わないな」
…青年、縣暁はその切れ長の美しい瞳を細めながら困ったように笑った。
笑うとやや寂しげな美貌が、煌めくように輝いた。
微笑んだその視線が、絢子を静かに捉えた。
…彼はそのまま優しく尋ねた。
「…雪子さんのお友達ですか?」