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あの海の果てまでも
第6章 秋桜の涙 〜絢子の告白〜
「ご紹介するわね。
私のクラスメイトの西坊城絢子様よ。
西坊城子爵様のお嬢様。
私とは月とスッポンのおしとやかな大和撫子よ」

雪子の紹介に
「それは間違いない」
春馬が大真面目に頷き、雪子が容赦なく肘鉄を喰らわす。
「もう!お兄様ったら!」
春馬が大袈裟に呻めきながら、青年…暁の肩を抱く。
「…こんなジャジャ馬に好かれて暁も可哀想だなあ。
そう思いませんか?絢子さん」

春馬に話しかけられ、頬が熱を持つのが分かる。
「…いいえ…そんな…」

「雪子さんはお転婆さんなところが魅力的なんですよ、春馬さん。
木登りも水泳も僕は全て雪子さんに教わりました」
「褒めてないわ!暁様!」
頬を膨らます雪子に暁はにっこり笑う。
「もちろん褒めてますよ。
僕は雪子さんが羨ましい。
いつも明るくて元気が良くてきらきら輝いていて…。
雪子さんといるとこちらまで楽しくなる。
ね?絢子さん」

優しく微笑まれ、絢子は温かな安堵に包まれる。
初対面の絢子への細やかな気遣いが感じられた。

…お美しくてお優しい方なのだわ…暁様…。

「…はい。その通りですわ」
頷く絢子に雪子が抱きつく。

「ありがとう!絢子さん!大好きよ!」

…そうして、小さな悪戯めいた眼差しを絢子にくれるやいなや、春馬を振り向いた。

「ねえ、お兄様。
今夜の舞踏会の最初と最後のワルツは絢子さんと踊って差し上げて?」




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