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あの海の果てまでも
第2章 新月の恋人たち
ジェイムズが紹介してくれた下宿…テラスハウスと呼ばれる住居は、マリルボーン地区を南北に走るベイカーストリートにあった。
彼の愛車だと言うオースティンに二人を乗せ、辺りを案内したのち、ジェイムズはテラスハウスの前で車を停めた。
「ここらのテラスハウスにはインテリ層が数多く住んでいるから治安が良くてね。
この2ブロック先には最近話題の推理作家が住んでいるんだよ。
ハイドパークは近いし、静かで良いところだよ」
…テラスハウスとは、同じ外観デザインが何軒も連なる集合住宅だ。
それは建築法により四段階に格付けされていた。
格付け1位のテラスハウスにはアッパークラスの貴族が、2位には富裕な商人、法律家、高級官僚などが住んでいる。
3位は事務職、4位は労働者階級…と住居のクラスが明確に分けられているのも身分社会の英国ならではなのだろう。
…ジェイムズの話し振りからは、ここはどうやら2位に属するテラスハウスらしい。
「僕の親戚が大家なんだ。
だから格安で借りられる。
…もっともハルマの日本のハウスは大きいらしいし、アキラはバロンの息子だそうだから、最初は慣れるまで窮屈かも知れないが…」
「いや、とんでもない。とても良い家だ。
ありがとう、ジェイムズ。
心から感謝するよ」
大紋は丁寧に礼を言い、感無量な眼差しで古めかしいが瀟洒な三階建ての建物を見上げた。
そうして暁の肩を優しく抱き、そっと告げた。
「…ここが僕たちの家だよ。暁…」
彼の愛車だと言うオースティンに二人を乗せ、辺りを案内したのち、ジェイムズはテラスハウスの前で車を停めた。
「ここらのテラスハウスにはインテリ層が数多く住んでいるから治安が良くてね。
この2ブロック先には最近話題の推理作家が住んでいるんだよ。
ハイドパークは近いし、静かで良いところだよ」
…テラスハウスとは、同じ外観デザインが何軒も連なる集合住宅だ。
それは建築法により四段階に格付けされていた。
格付け1位のテラスハウスにはアッパークラスの貴族が、2位には富裕な商人、法律家、高級官僚などが住んでいる。
3位は事務職、4位は労働者階級…と住居のクラスが明確に分けられているのも身分社会の英国ならではなのだろう。
…ジェイムズの話し振りからは、ここはどうやら2位に属するテラスハウスらしい。
「僕の親戚が大家なんだ。
だから格安で借りられる。
…もっともハルマの日本のハウスは大きいらしいし、アキラはバロンの息子だそうだから、最初は慣れるまで窮屈かも知れないが…」
「いや、とんでもない。とても良い家だ。
ありがとう、ジェイムズ。
心から感謝するよ」
大紋は丁寧に礼を言い、感無量な眼差しで古めかしいが瀟洒な三階建ての建物を見上げた。
そうして暁の肩を優しく抱き、そっと告げた。
「…ここが僕たちの家だよ。暁…」