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あの海の果てまでも
第2章 新月の恋人たち
テラスハウスに荷物を置き、三人はホテル・リッツのレストランで昼食を取った。

本場のローストビーフやドーヴァソールのムニエルはさすがに美味しかったが、暁は正直味わう余裕もなかった。
…初めて来た異国。
密かに憧れていた英国…。
その首都・倫敦…。
これから、ずっとこの街に住むのだ。
日本には、二度と戻らずに…。
大紋と二人で…。
それらのことに、まだ何もかも実感が湧かなかったのだ。

大紋とジェイムズは熱心に今後のことを話していた。

大紋はジェイムズが開いている法律事務所のパラリーガルとして働くことになったのだ。

「英国は実務を積んで、司法試験に受かれば、例え外国人でも弁護士の資格を取ることができるんだ。
ハルマはケンブリッジの法科で学んでいるし、英語も堪能だから、近い将来必ず資格は取得できると思うよ。
それまでは、僕の片腕として働いて欲しいんだ。
…最近、この倫敦ではたくさんの外国人が移民して、商売を始めたりしている。
そのためトラブルもかなり起こっていて、調停や弁護の依頼がひっきりなしなんだ。
依頼人の中には東洋人もたくさんいるからね。
ハルマがいてくれたら、本当に助かるよ」
…そんな風に英国人の友人に頼られる春馬さんはすごいな…と、暁は感心しつつも、どこか心は晴れなかった。
その理由は、自分でもよく分からない。

「こちらこそ、よろしく頼む。
どんな仕事も精一杯やらせてもらうよ。
…妻を捨てた人間が、こんなことを言うのは不謹慎かも知れないが、僕は英国で新しい人生を一から始めたいんだ。
…愛する暁と一緒に…。
けれど、暁には決して苦労を掛けたくないんだ。
そのためなら、僕はどんなこともしてみせる」

大紋が暁の手をさりげなく、優しく握った。
人前で触れられることに慣れていない暁は、思わず頬を染める。

ジェイムズが好意的な笑いを漏らした。

「…ご馳走様。
それでは、アキラのためにもハルマには思いっきり働いて貰おう。
アキラ、僕を恨まないでくれよ?」


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