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あの海の果てまでも
第6章 秋桜の涙 〜絢子の告白〜
「…絢子さん…」
その涙は大理石のフロアにも静かに溢れ落ちる。
…と、絢子の手が春馬の暖かく大きな両手に強く握られた。
驚き見上げる春馬の凛々しい貌には優しい微笑みが浮かんでいた。
「…絢子さん。
こちらにいらっしゃい」
「…え?」
春馬が絢子の手をしっかり握りしめながら、踊る人々を器用に避けながら悠然とフロアを横切る。
「あ、あの…春馬様…?」
戸惑う絢子を、朗らかに振り返る。
「…二人だけで秘密の場所にまいりましょう」