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あの海の果てまでも
第6章 秋桜の涙 〜絢子の告白〜
…そうして絢子は学校も休みひたすら寝室に引き篭もり続けた。
方子は気を揉み、何とか絢子の気持ちを引き立てようと声を掛け続けた。

「絢子さん。メロン召し上がる?
貴女の大好物の千疋屋のマスクメロンよ。
…少し起きてお庭をお散歩なさらない?
それか…サンルームでお母様とご一緒にお茶をいただかないこと?」

方子は絢子が春馬に告白を断られたことを知っている。
急に取り乱し帰宅した絢子を心配した雪子が兄を問い詰め、出来事のあらましを聞いた。
それを雪子は方子に伝えたのだ。
また、学校を休み続ける絢子のことについて、雪子は兄を責めたようだ。

昨日、春馬はわざわざ議員会館に出向いて父、西坊城子爵に謝罪したとのことだった。
屋敷を訪問しなかったのは、引き籠っている絢子に配慮してだろう。

…春馬様にもご迷惑をお掛けしてしまった…。
春馬様は何も悪くないのに…。

ことが大きくなった罪悪感、そして皆に知られてしまった羞恥心から絢子は部屋から出られないでいるのだ。

「…お願い、お母様…。
ひとりにして。放っておいて…」

ブランケットの中から懇願する娘に、方子はため息を吐きながら仕方なく部屋を出て行った。


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