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あの海の果てまでも
第6章 秋桜の涙 〜絢子の告白〜
…そうだわ。
縣…暁様…。
春馬様の親友の縣礼也様の弟様…。
ホテルカザマの夜会にいらしていた。
春馬様ととても親しげにしていらした方…。

…そして…
かつて、春馬が家庭教師をしていたという世にも稀な美しい青年…。
まるで優美な絵画から抜け出して来たかのような麗人ぶりだった。
その彼が、春馬の秘密の別宅に訪れている…。
しかも、春馬の車に同乗して…。
絢子はなんとはなしに、胸がざわざわと騒めくのを感じた。

しかし白戸はほっとしたかのように、絢子に囁いた。
「…大紋様と縣様はご親友でいらっしゃるとか…。
その弟君様をこちらに招待されても、おかしな話ではありませんね。
…さあ、もうご満足されましたか?
今日は大紋様の想い人の方は現れないでしょう。
お嬢様、もう帰りましょう」

「…待って…」

絢子は、眼の前の二人に釘付けになる。

…明らかに、以前会った時の二人とは様子ががらりと違っていたのだ。

暁は、なぜかどこか苛立ったような様子で足早に玄関に向かおうとしていた。

そんな青年を春馬は追いかけ、その華奢な腕を掴む。
「待ってくれ、暁。僕の話をちゃんと聞いてくれ。
まさか、さっきの話を誤解しているんじゃないだろうね?」

暁はくるりと踵を返し、春馬に向き直る。
透き通るような白い肌は、うっすらと紅潮し、その射干玉色の瞳は冬の星座のように煌めいていた。

「誤解?
誤解ではなく、事実でしょう?
春馬さんに…西坊城子爵のお嬢様とのご縁談があったことは。
…雪子さんからも伺いました。
『絢子さんにはお兄様のお嫁様になっていただきたいから、暁様からもお勧めして』…と。
…確かに、雪子さんのご学友なら春馬さんの奥様に相応しいですよね。
お家柄も申し分ない。願ってもないご縁談ではないですか?
絢子さんは、とてもお可愛らしくてお淑やかなお嬢様でしたし…」

「暁…!」
春馬は暁の白くほっそりとした両手首を掴んだまま玄関扉に押しつけた。

絢子は息を呑んだ。
春馬の強い意志を孕んだ声…そして、熱情を帯びた行動を初めて目の当たりにしたからだ。

…そして…

「馬鹿なことを言うな。
僕が愛しているのは君だけだ。
だから結婚はしない。
…君以外、僕は誰も愛せないのだから…」

熱く激しい愛の言葉を告げた口唇が、暁の口唇を狂おしく奪ったのだ。





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