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あの海の果てまでも
第6章 秋桜の涙 〜絢子の告白〜
「…そういうことでしたか…」
やや掠れた…けれど努めて冷静になろうとしている白戸の声が、絢子の背後から囁かれた。
「…大紋様は暁様と恋仲でいらしたのですね。
だからご結婚出来ないと…」
…二人はまだ、激しく濃密な口づけを繰り返している。
「…愛している…僕は…暁がいれば何も要らないんだ…」
「…ああ…春馬さ…ん…」
見たくない。
こんな場面を見たいわけではない。
けれど、眼を逸らすことはできない。
こんなにも濃密な愛の交歓の相手は、自分ではないのだ。
いや、自分は春馬にとって何の興味もない、取るに足らない詰まらない存在なのだ。
彼にとって大切な存在は…
今、狂おしくも甘く激しい口づけを与えている世にも美しい青年…。
暁ひとりなのだから。
やや掠れた…けれど努めて冷静になろうとしている白戸の声が、絢子の背後から囁かれた。
「…大紋様は暁様と恋仲でいらしたのですね。
だからご結婚出来ないと…」
…二人はまだ、激しく濃密な口づけを繰り返している。
「…愛している…僕は…暁がいれば何も要らないんだ…」
「…ああ…春馬さ…ん…」
見たくない。
こんな場面を見たいわけではない。
けれど、眼を逸らすことはできない。
こんなにも濃密な愛の交歓の相手は、自分ではないのだ。
いや、自分は春馬にとって何の興味もない、取るに足らない詰まらない存在なのだ。
彼にとって大切な存在は…
今、狂おしくも甘く激しい口づけを与えている世にも美しい青年…。
暁ひとりなのだから。