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第6章 秋桜の涙　〜絢子の告白〜

その場からどうやって帰宅したか、絢子は殆ど覚えてはいない。

白戸に抱きかかえられるように車に乗り込み、春馬の武蔵野の別宅を後にした。
車内で絢子は泣いてばかりだった。
余りに胸が苦しくて、涙はさながら泉のように後から後から溢れだし、止まらないのだ。

白戸はハンドルを握りながら、そんな絢子に必死に慰めの言葉を掛けてきた。

『大紋様は男性の縣様がお好きなのです。
もしかしたら、女性は愛せない同性愛者のお方なのかもしれません。
やんごとないご身分の方や知的なご職業の方にありがちと伺ったことがあります。
今、わかって良かったではありませんか。
大紋様はお嬢様には相応しいお方ではないのです。
もう、綺麗さっぱり大紋様のことは忘れてしまわれた方が宜しいかと存じます』