この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
あの海の果てまでも
第6章 秋桜の涙 〜絢子の告白〜
翌日、絢子は久しぶりに着物に着替え、自分で化粧もした。
綸子縮緬の鴇色の着物は方子のお気に入りだ。
絢子が自ら着たら喜ぶし、回復した娘に安堵すると思ったからだ。
薬指で紅を差し、鏡に映る自分に語りかける。
…もう、この恋は諦めよう。
春馬様とはお兄様のように親しくできれば良いのだわ…。
それで充分…。
お優しい春馬様を、もう困らせてはならないわ…。
…お母様に、お伝えしなければ…。
方子が春馬に絢子の見舞いに来てくれるよう遠回しに頼んでいたのには薄々気づいていたからだ。
絢子は椅子から立ち上がり、方子を探しに部屋を出た。
綸子縮緬の鴇色の着物は方子のお気に入りだ。
絢子が自ら着たら喜ぶし、回復した娘に安堵すると思ったからだ。
薬指で紅を差し、鏡に映る自分に語りかける。
…もう、この恋は諦めよう。
春馬様とはお兄様のように親しくできれば良いのだわ…。
それで充分…。
お優しい春馬様を、もう困らせてはならないわ…。
…お母様に、お伝えしなければ…。
方子が春馬に絢子の見舞いに来てくれるよう遠回しに頼んでいたのには薄々気づいていたからだ。
絢子は椅子から立ち上がり、方子を探しに部屋を出た。