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あの海の果てまでも
第7章 秋桜の涙 〜新たなる夜明けへ〜
「何を仰るのですか!
貴女以外にこの家を守れる人がいますか?
貴女は大紋家の女主人なのですよ。
そして、春馬の血を引く…大紋家の血筋を後継する子どもの母親なのですよ。
自信をお持ちなさい!
春馬が貴女に全財産を譲ったということは、貴女に大紋家を…すべてを託したということなのです。
貴女なら託せると…春馬は貴女を信じてすべてを委ねたのですよ」
それは絢子が初めて見る礼也の強い眼差しと強い口調であった。
普段、決して大きな声など上げない穏やかな柔らかな語り口の優しく端正な紳士が…。
絢子の手を強く握りしめ、熱く激しい口調で…。
…まるでそれは、愛を掻き口説くかのように熱情に満ちたものだった。
その言葉に、絢子は雷に撃たれたかのような衝撃を受けた。
「…私を…信じて…託して…」
…春馬様が…私を…信じて…?
そんなこと、考えたこともなかった…。
礼也の端正な瞳に優しさが滲む。
「そうですよ。
名門のこの大紋家を維持し、栄えさせ、そして春馬と貴女の大切な子どもを育てる…。
大紋家の立派な後継者になるように教育するのです。
貴女はそれを出来る方だ。
春馬はそれを分かっていた。
…以前、春馬は私に言ったことがあります。
『人は絢子を内気だとか大人しすぎるとか言うけれど、そんなことはない。
彼女は芯の強いひとだ。
そして、何より心優しい、素晴らしい女性だ』と…。
私もそう思います。
…だから、貴女よりほかにこの大紋家を統べる方はいないのですよ」
貴女以外にこの家を守れる人がいますか?
貴女は大紋家の女主人なのですよ。
そして、春馬の血を引く…大紋家の血筋を後継する子どもの母親なのですよ。
自信をお持ちなさい!
春馬が貴女に全財産を譲ったということは、貴女に大紋家を…すべてを託したということなのです。
貴女なら託せると…春馬は貴女を信じてすべてを委ねたのですよ」
それは絢子が初めて見る礼也の強い眼差しと強い口調であった。
普段、決して大きな声など上げない穏やかな柔らかな語り口の優しく端正な紳士が…。
絢子の手を強く握りしめ、熱く激しい口調で…。
…まるでそれは、愛を掻き口説くかのように熱情に満ちたものだった。
その言葉に、絢子は雷に撃たれたかのような衝撃を受けた。
「…私を…信じて…託して…」
…春馬様が…私を…信じて…?
そんなこと、考えたこともなかった…。
礼也の端正な瞳に優しさが滲む。
「そうですよ。
名門のこの大紋家を維持し、栄えさせ、そして春馬と貴女の大切な子どもを育てる…。
大紋家の立派な後継者になるように教育するのです。
貴女はそれを出来る方だ。
春馬はそれを分かっていた。
…以前、春馬は私に言ったことがあります。
『人は絢子を内気だとか大人しすぎるとか言うけれど、そんなことはない。
彼女は芯の強いひとだ。
そして、何より心優しい、素晴らしい女性だ』と…。
私もそう思います。
…だから、貴女よりほかにこの大紋家を統べる方はいないのですよ」