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あの海の果てまでも
第7章 秋桜の涙 〜新たなる夜明けへ〜
絢子の寝室に入るなり、志麻は礼也と白戸に剣もほろろに言い渡した。

「さあさあ、ここからは男子禁制さね。
近くをうろうろされても奥様が気が散るだけだから、階下にでも降りていてくださいよ」

呆気なく閉められた扉を暫し見つめる。
居ても立っても居られないとはこのことだな…とため息を吐く。

傍らに同じように立ち去り難く佇む忠実な執事に語りかける。

「何か手伝うことはないか?
力になれることがあれば何なりと言ってくれ」

白戸は青ざめた端正な貌のまま、礼也を見つめた。

「それでは、奥様のご出産が終わるまで、こちらで待っていただいてもよろしいでしょうか?
長丁場になるとのことですので、当屋敷にお泊まりいただくことになるかと存じますが…」

「え?」

執事の意外な申し出に礼也は眼を見張る。

「…奥様たってのお願いなのでございます。
お子様がお生まれになったら、一番に縣男爵様に見て頂きたいと…」

白戸は恭しく頭を下げた。



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