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あの海の果てまでも
第7章 秋桜の涙 〜新たなる夜明けへ〜
西坊城子爵家に勤めるようになって白戸の一番印象に残ったのは、子爵家の末娘・絢子だ。
歳は十三歳。
本来なら華族女学校に通っているはずだが、身体がやや弱く、更に大変内気な性格で、学校には通わずに自宅で家庭教師に勉強を習っているらしい。
尤もそれは深窓の令嬢ではよくあることらしいが。

…そこで、西坊城子爵に
『今度から君にも絢子の勉強を見てもらいたい。
今まで習っていた家庭教師が結婚することになり、近いうちに退職するのだ。
新しい教師が見つかるまで、国語と算術、英語と…出来ればフランス語も頼むよ。
君は絢子と年も近いし、親しみやすいだろう』
と、引き合わされたのだ。

『絢子さん。
白戸にご挨拶なさい。
これから暫く、白戸が貴女の家庭教師になるのですからね』

夫人に促され、背後に隠れるように佇んでいた絢子がようやくおずおずと現れた。

『…あ…』

…アリスだ…。

白戸は眼を見張った。
小柄で華奢な少女が白戸の眼の前に現れた。
…水色のプリンセス袖のふんわりとしたワンピースに白いレースのエプロンドレスを重ねている。
白い絹の靴下に黒いストラップのついた革靴。
長く美しい髪はワンピースと同色のヘアバンドでまとめられている。

…その姿は、松本の洋書店で見かけた英国の児童文学の作家ルイスキャロルの「不思議の国のアリス」のアリスの挿絵そのままだ。

…アリスがいる…。

白戸は我を忘れて、少女の姿に釘付けになった。
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