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あの海の果てまでも
第2章 新月の恋人たち
「…暁?」
「…春馬さんはいつも堂々として、素敵です」
大紋が朗らかに笑い、体を揺らす。
筋肉質な逞しい身体に大切に抱きしめられ、波立っていた心が静かに凪いでゆくのが分かる。

「惚れ直した?」
「ずっと惚れているから変わりませんよ」

大紋が大袈裟に驚いて見せる。
「暁の口からそんな嬉しい言葉が出るなんて!
やっぱりこの街の霧のせいかな?」

「なんで霧のせいですか。もう言いません」
「あ、止めてくれ。もっと聴きたい。毎日聴きたい」

慌てふためく大紋に、暁は静かに愛を込めたキスを送る。

「…愛しています。春馬さん」

カーテン越しに、柔らかな陽の光が射す。
窓の外の霧は、微かに晴れて来たようだ。

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