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あの海の果てまでも
第7章 秋桜の涙 〜新たなる夜明けへ〜
「…なるほど…。
十三歳の絢子さんに…ね…」
感心したような縣男爵の声に、白戸は我に帰る。

「…別に私は少女趣味があるわけではありませんよ。
たまたまです。
絢子様だから、惹かれたのです」

つんと顎を反らす白戸を、男は可笑しそうに笑った。

「いや、咎めている訳ではないよ。
…ちょっと自分と重なるところがあってね…。
しみじみしてしまったのだよ」

「…男爵様が?」
縣男爵は長い脚をゆっくりと組み直し、口を開いた。

「私の初恋は…7歳の少女だった。
…ああ、もちろん私も少女趣味はないよ」

…けれど…

男は暖炉の赫々と燃える火を見つめながら、どこか切ない憧憬の色を滲ませた声で続けた。

「…時としてひとは、思わぬ恋に堕ちる場合があるのだよ…」

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