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あの海の果てまでも
第2章 新月の恋人たち
…その店は、色鮮やかな看板や派手な店々、そこに集まる賑やかな人々の喧騒を少し離れた小路を曲がった突き当たりにひっそりと存在していた。
暁が脚を止めたのは、まるで美しい唄のような鳥の鳴き声が聴こえてきたからだ。
…綺麗な鳴き声…。
何の鳥だろう。
暁の好奇心が、疼いた。
古めかしい青銅の中国屋根の軒端に、芸術品のようにデコラティブな真鍮で出来た鳥籠が吊るされていた。
…唄の主はここにいるらしい。
暁はゆっくりと近づいた。
真鍮の鳥籠の中には、目が醒めるような檸檬色の美しい小鳥が、楽しげに囀っていた。
その鳥は、暁が近づいてものんびりと羽ばたきながら、唄を繰り返す。
「…わあ…綺麗…。
…何ていう鳥だろう…」
感動の余り、思わず声を上げた。
…すると…。
「…金絲雀…カナリアですよ。
お美しいターレン」
仄暗い店の奥から、ふわりと伽羅の薫りの風と共に、天鵞絨のように艶やかな優しい声が聴こえてきた。
暁が脚を止めたのは、まるで美しい唄のような鳥の鳴き声が聴こえてきたからだ。
…綺麗な鳴き声…。
何の鳥だろう。
暁の好奇心が、疼いた。
古めかしい青銅の中国屋根の軒端に、芸術品のようにデコラティブな真鍮で出来た鳥籠が吊るされていた。
…唄の主はここにいるらしい。
暁はゆっくりと近づいた。
真鍮の鳥籠の中には、目が醒めるような檸檬色の美しい小鳥が、楽しげに囀っていた。
その鳥は、暁が近づいてものんびりと羽ばたきながら、唄を繰り返す。
「…わあ…綺麗…。
…何ていう鳥だろう…」
感動の余り、思わず声を上げた。
…すると…。
「…金絲雀…カナリアですよ。
お美しいターレン」
仄暗い店の奥から、ふわりと伽羅の薫りの風と共に、天鵞絨のように艶やかな優しい声が聴こえてきた。