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あの海の果てまでも
第2章 新月の恋人たち
店内は意外なほどに広かった。
ひんやりとした空気に、前をしなやかに歩く朱の伽羅の薫りが床しく漂う。
内部は鰻の寝床のように細長い造りになっていて、左右の壁や棚には中国の骨董品や陶器が雑然と、けれどセンス良く飾られていた。
壁に飾られているのは雄大に…そして繊細に描かれた水墨画だ。
他にも、唐時代のものと思われる美人画や時代物と思しき鏡、唐三彩の花瓶、煌めく燭台などが所狭しと飾られていて、とてもただの茶房には見えなかった。
朱は暁を店の最奥にいざない、広い黒檀の卓に座らせた。
「どうぞ、お掛けください」
「ありがとうございます…」
…まるで、中国の謎めいた古美術店に迷い込んだみたいだ…。
思わず興味深げに店内を見渡す暁に、朱はにっこりと微笑んだ。
「ここは骨董店…アンティークショップでもあるのですよ」
ひんやりとした空気に、前をしなやかに歩く朱の伽羅の薫りが床しく漂う。
内部は鰻の寝床のように細長い造りになっていて、左右の壁や棚には中国の骨董品や陶器が雑然と、けれどセンス良く飾られていた。
壁に飾られているのは雄大に…そして繊細に描かれた水墨画だ。
他にも、唐時代のものと思われる美人画や時代物と思しき鏡、唐三彩の花瓶、煌めく燭台などが所狭しと飾られていて、とてもただの茶房には見えなかった。
朱は暁を店の最奥にいざない、広い黒檀の卓に座らせた。
「どうぞ、お掛けください」
「ありがとうございます…」
…まるで、中国の謎めいた古美術店に迷い込んだみたいだ…。
思わず興味深げに店内を見渡す暁に、朱はにっこりと微笑んだ。
「ここは骨董店…アンティークショップでもあるのですよ」