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あの海の果てまでも
第2章 新月の恋人たち
「…朱さんが…?」
驚く暁に、朱は静かに二杯目のお茶を淹れ、美しい所作で勧める。
「…ええ。そうです。
…もう随分と昔の話ですが…」
…聴かれますか?
白い花が嫋やかに咲くように、朱は微笑んだ。
「聴きたいです」
暁は頷いた。
…この謎めいた、ぞっとするほどに美しく艶めいたひとが、自分と同じ恋の逃亡者だったとは…。
そうして、なぜここで暮らしているのか、恋人は何処にいるのか…。
聴きたくて、堪らなくなったのだ。
…不意に店先に吊るされた鳥籠の中で、金絲雀が囀るように長く鳴いた。
朱は、その美しい鳴き声に暫し耳を傾け、やがてその形の良い口唇を開いた。
「…それでは、お話しましょう。
…愚か者の哀しい恋の話しを…」
驚く暁に、朱は静かに二杯目のお茶を淹れ、美しい所作で勧める。
「…ええ。そうです。
…もう随分と昔の話ですが…」
…聴かれますか?
白い花が嫋やかに咲くように、朱は微笑んだ。
「聴きたいです」
暁は頷いた。
…この謎めいた、ぞっとするほどに美しく艶めいたひとが、自分と同じ恋の逃亡者だったとは…。
そうして、なぜここで暮らしているのか、恋人は何処にいるのか…。
聴きたくて、堪らなくなったのだ。
…不意に店先に吊るされた鳥籠の中で、金絲雀が囀るように長く鳴いた。
朱は、その美しい鳴き声に暫し耳を傾け、やがてその形の良い口唇を開いた。
「…それでは、お話しましょう。
…愚か者の哀しい恋の話しを…」