この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
あの海の果てまでも
第3章 新月の恋人たち 〜朱浩藍の告白〜
…やがて、浩藍は十四歳…中国の数え年では十五歳になった。
小柄だった背はすらりと伸び、手足は長く、小さく透き通るような白い貌は更に端麗に整い…まるで天女のような優美さだと、学校でもフランス租界でも評判となっていた。

背を覆う黒髪は艶やかな絹糸のようで、柔らかな曲線を描く柳眉、切長で涼やかな瞳、形の良い鼻梁、口唇は山査子の果実のように匂い立つ瑞々しさを湛えている…。
…それらは、兄の佑炎がうっとりと唄うように、浩藍の美貌を褒め称える言葉であった。

佑炎は相変わらず浩藍に優しく、まるで恋人のように甘やかに溺愛していた。

同時に、いよいよ英国留学への日取りも決まり、彼は憂いを秘めた表情をするようになった。

『藍を置いてゆきたくないな…。
藍も来ないか?
お父様には僕から話すよ』

『…でも…』
…そんなことを父親も…ましてや佑炎の母親が許すとは到底思えなかった。

戸惑う浩藍の白い手を、いつになく強引に、佑炎は握りしめた。

『…藍と一日だって離れたくないんだよ。
…お前がいない日々なんて…もう想像ができない…』
まるで愛の告白のような狂おしい言葉と共に、その手に口唇が押し当てられた。

『…兄さん…』
…火傷しそうに熱い口唇だった…。
初めて、身体に電流が走るような衝撃を受けた。

佑炎が情熱の眼差しで浩藍を見つめる。

『…藍…。
…傍に、いてほしい…』

…僕は…お前が…

けれどその言葉は、音もなく現れた無機質で重々しい執事の声によってかき消された。

『…佑炎様、浩藍様。
旦那様がお呼びです。
書斎にお越し下さいますように…』




/230ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ