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あの海の果てまでも
第3章 新月の恋人たち 〜朱浩藍の告白〜
甘く優しいくちづけが解かれると、浩藍は潤んだ眼差しで佑炎を見上げた。

『…兄さん…』

『…怒った?
…嫌だった?』
佑炎が不安そうに、覗き込む。

浩藍は必死に首を振る。
『嫌じゃない…。
…だって…僕も…』

…このひとが好きだった…。
初めて自分の存在を丸ごと受け止めてくれたひと…。
惜しみなく優しさと、愛をくれたひと。
惹かれずにはいられなかったのだ。
例え、兄だとしても。

『…兄さんを…愛しています。
…誰よりも…』
生まれて初めての愛の告白は、その口唇からとても自然に溢れおちた。

『…藍…!』
佑炎が狂おしく抱きすくめる。
浩藍の華奢な身体が、砕けそうになるほどに強く。

『…愛している…!
絶対に離さない…!』

…そうして、佑炎は浩藍の艶やかな黒髪を愛おしく撫でながら、しっかりとした声で伝えた。

『一緒に逃げよう。
…倫敦へ』


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