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あの海の果てまでも
第1章 運命の舟

暁は大きな瞳を見開き、透明な涙を溢れさせた。
長い睫毛に水晶の欠片のような涙が絡みつく。
そうして子どものように、首を振る。
「…一緒に行きます。
春馬さんとなら…。
地獄だってどこだって…。
…だから…置いていかないで…もう、二度と…」
…この手を離さないで…。
「暁…!」
狂おしく口唇を奪われ、息ができないほど激しく口づけされる。
…失うものなど、もう何もない…。
いや、違う。
今、自分を抱きしめてくれるこの男さえいてくれたら…。
もう何もいらないのだと。
そのことに、どうしようもないほどの喜びを感じる。
感じてはならないのに。
熱い吐息を奪い合うように激しく口づけを交わしながら、暁は初めて、背徳の中にある幸福を知るのだった。
長い睫毛に水晶の欠片のような涙が絡みつく。
そうして子どものように、首を振る。
「…一緒に行きます。
春馬さんとなら…。
地獄だってどこだって…。
…だから…置いていかないで…もう、二度と…」
…この手を離さないで…。
「暁…!」
狂おしく口唇を奪われ、息ができないほど激しく口づけされる。
…失うものなど、もう何もない…。
いや、違う。
今、自分を抱きしめてくれるこの男さえいてくれたら…。
もう何もいらないのだと。
そのことに、どうしようもないほどの喜びを感じる。
感じてはならないのに。
熱い吐息を奪い合うように激しく口づけを交わしながら、暁は初めて、背徳の中にある幸福を知るのだった。

