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あの海の果てまでも
第3章 新月の恋人たち 〜朱浩藍の告白〜
『私は藍を渡さない。
本気だ。
これ以上、藍に手出しをしたら、貴方を撃つ』
そう言いながら、浩藍の手を取り戻し、背後に庇う。

永明が腹立たしげに叫ぶ。
『馬鹿なことをするな!
あのミラボーはフランスの武器商人とも繋がっているのだぞ。
そんな相手を敵に回して、逃げられるとでも思っているのか!』
『武器商人が何ですか。
私はあんな男に藍を絶対に渡さない!
死んでも渡さない!』

佑炎は永明に拳銃を突きつけたままじりじりと後退りする。
そのまま浩藍の手を取り、桟橋へと走り出す。
『おいで。藍』
『兄さん…!』
走りながら、浩藍を安心させるように優しく笑いかける。
『大丈夫だよ。
船に乗り込めば、もう手出しは出来ない。
英国に行って、二人で新しい人生を始めよう。
何もかも最初から始めるんだ。
藍は学校に行って、たくさん勉強して、豊かな人生を送るんだ。
僕はバイオリンをもっともっと練習して上手くなる。
そして、世界中に演奏旅行に出かける』

…夢のような話だ。すべて。
本当に、そんな世界が自分に待っているのだろうか…。
…だから、縋るようにこう尋ねる。

『僕も連れて行ってくれる?
兄さん』
兄は優しく微笑んだ。
『もちろんだ。
これからは絶対に離れない。
藍、僕はお前を死ぬまで離さない…。
神に誓うよ』
『…兄さん…』

『おい!こっちだ!
早くタラップを上がって来い!』
貨物船の入り口、船長らしき男が叫ぶ。

タラップが掛かる桟橋に辿り着く。
『あと少しだ。さあ、藍』
佑炎が、浩藍を引き上げるように抱き寄せる。

…その時、暗闇の中、ぎらりと鈍色の光が輝いた。

ミラボーが、鬼のような形相で佇んでいた。
手には最新式の拳銃を構えている。
その貌にはどす黒い怒りと、狂気の色が浮かんでいた。

『誰が行かせると思うのか。
よくもこの私の顔に泥を塗ってくれたな。
…この淫売風情が…!
お前の代わりなぞ、いくらでもいるのだ。
自分の愚かさを思い知るがいい。
死ね!』

男は、浩藍に銃口を向け、引き金を引いた。





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