この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
あの海の果てまでも
第3章 新月の恋人たち 〜朱浩藍の告白〜
…船は東シナ海へと方向を変え進んでいた。
海風が強くなり、潮の匂いがきつくなる。
けれど、辺りには一面の漆黒の闇が広がるだけだ。
星も月もない、無限の闇夜だ。
甲板には誰もいない。
浩藍はデッキの隅に蹲り、ぼんやりと海を眺めていた。
『…おい。綺麗な坊や。中に入れ。
風邪を引くぞ』
浩藍の肩にふわりと温かな毛布が掛けられた。
微動だにしない浩藍に、船長はため息を吐く。
『食堂に来てメシを食え。
そんな青白い貌をして…。
ぶっ倒れるぞ』
船が港から離れた時から、ひとことも口を聞かない浩藍に、菻は諦めたように肩を竦めた。
『…気が向いたら中に入れ。
俺はあんたを無事に英国まで送り届ける責任があるんだ』
…踵を返しながら、独り言のように呟く。
『…坊やは生きるんだ。
どんなに辛くともな。
それがあんたの為すべきことだ』
海風が強くなり、潮の匂いがきつくなる。
けれど、辺りには一面の漆黒の闇が広がるだけだ。
星も月もない、無限の闇夜だ。
甲板には誰もいない。
浩藍はデッキの隅に蹲り、ぼんやりと海を眺めていた。
『…おい。綺麗な坊や。中に入れ。
風邪を引くぞ』
浩藍の肩にふわりと温かな毛布が掛けられた。
微動だにしない浩藍に、船長はため息を吐く。
『食堂に来てメシを食え。
そんな青白い貌をして…。
ぶっ倒れるぞ』
船が港から離れた時から、ひとことも口を聞かない浩藍に、菻は諦めたように肩を竦めた。
『…気が向いたら中に入れ。
俺はあんたを無事に英国まで送り届ける責任があるんだ』
…踵を返しながら、独り言のように呟く。
『…坊やは生きるんだ。
どんなに辛くともな。
それがあんたの為すべきことだ』