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誰も知らない君の顔
第1章 高嶺の華
「眠っ・・・」

渡された封筒を手にエレベーターで最上階に上がる。
都内一等地にある自社ビルの最上階はとにかく眺めがいい。高い金払ってタワーとか昇るよりここから眺めてる方が一番いいかもしれない。

社長室の手前に陣取る秘書課。俺はこの独特で異様な雰囲気が嫌いだ。

「総務課の平沢です。内藤課長からの預かり物です」

「ご苦労様です」

うちの社長は一体何人の秘書を連れ回しているんだろう。受付にいる二人の美人秘書と、奥の秘書課の中には5人もいる。そんなに秘書いるのか?

「分かったって!もう!!」

もの数秒の“お遣い”も終わりガラス張りの廊下を歩いていると、勢いよく閉ざされるドアに一瞬体がビクついた。

「毎日毎日同じ事・・・」

エレベーターホールに足早に向かって来る“彼女”はご立腹だ。

「お疲れ様です」

「あっ!お、お疲れ様です!」

頬を膨らませていた顔が一気に真っ赤になり、恥ずかしそうに俯いた。
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