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僕たちの大切な人
第1章 僕たちの大切な人
本心ではそんな事思ってなかった。
思っているわけがない。
少しでも萌が成瀬の事を良いと思っているような発言にカッとなっただけだった。
ハッとした時には萌は目を潤ませた。
あ…やべ…
「なにそれ…最低……大貴なんか大ッ嫌い!」
「萌ッ!」
萌はその場から走り出した。
急いで追い掛ける。
追い掛ける瞬間にポケットに入っていたスマホを落とした。
「…おい君、スマホ落としたけど?」
「それどころじゃねぇ!」
すぐ近くの階段のところで萌が躓いた。
「キャア!」
「萌ッ!」
「危ない!」
同時に階段から落ちそうになる萌を引っ張ったのは………成瀬?
俺と成瀬は一緒に階段から転がり落ちた。
一瞬の出来事だったはずだがスローモーションの映像を見ているようにこの瞬間は長く感じられた。