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僕たちの大切な人
第1章 僕たちの大切な人
萌が行くところといったらあそこか?
家の近所の公園だ。
小さい頃からだいたい泣くとブランコのところにいるけど…いない…。
そういえば昔、萌が拗ねるといつも公園の中心にある山の形をした遊具の中に隠れていた。
一応見てみよう。
いた…暗いけど萌がいることがわかる。
「……萌」
「ふえ…?大貴?……あれぇ…ごめ…間違えちゃった…成瀬君?だよね?どうして?」
「あ!いや!その…吉野にさっき気が動転してて変な事してるところ萌ちゃんに見られて合わせる顔ないから様子見に行ってほしいって言われて…」
「そっかぁ…」
俺は萌の隣に座った。
「……大貴大丈夫かなぁ…目が覚めてからなんか変だったんだぁ」
「え?ど、どう変だった?」
「………キス……されちゃった……」
「……は?マジで?あ!えーっと…吉野とキスすんの初めてだったの?嫌だったとか…?」
「…ん…キス自体初めてだったから……大貴とキスするのは嫌じゃないはずだったんだけど…目が覚めた後の大貴…大貴じゃないみたいだったから…」
「嫌じゃないって…その…もしかして…」
「……ん……大貴の事小さい頃からずっと好きだから///………あ!大貴には内緒だよ!?」
「も、もちろん…」
マジかよ…萌が俺のこと好きとか成瀬が勝手に萌にキスしたとか…もうわけわかんねぇ…。
ただ……俺だって萌の事好きだし、キスも俺がしたかった…。
あぁ!キスした身体は俺か…
「……成瀬君…ごめんね?あたしが階段から落ちそうになったの助けてくれようとしてんだよね」
「いや…そんな…謝んなよ…あの時俺が悪かったし」
「へ?成瀬君はあたしに何もしてないよ?」
「あーー!ほら、廊下で女の子たちと戯れてたから!邪魔だったかと思って……」
今俺は成瀬なんだって!ややこしいな…
「……なんか成瀬君も階段から落ちてからちょっと変わった?………暗くて顔見えないと大貴といるみたい…」
やはりずっと一緒にいたせいか?
俺のことわかるのかな…
「…医者に混乱してるとは言われたけど」
「やっぱり?中身入れ替わっちゃったみたいだね」
「……もし本当にそうだとしたらどうする?」
「……ふえ?………ンッ」
俺は萌の顔を覗き込んでキスをした。