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DOLL
第2章 お市の場合―戦国の夢―
お市は今年で十七歳になる。
その美しさは、日本一と言われた。

十七歳と言えば、いつ他家に嫁げと言われてもおかしくない年頃だ。


お市はその頃、ある願望を抱いていた。

それは、とても淫らで危険な願望だった。


ある夜、お市は兄の部屋に行くことを決意した。
かねてよりの願望を成就させるために。

兄はその夜、お気に入りの小姓を相手に夜桜を眺めながら酒を飲んでいた。

お市は酒を運ぶふりをして、兄の部屋に向かった。


「ささ(お酒のこと)をお持ち致しました。」
襖の向こうから声を掛けると、

「ふむ。」
と兄の声が聞こえた。

お市は襖を開け、三つ指を付いて頭を下げた。
頭を上げると、床几にもたれ掛かり、外を眺め酒を飲む兄の後ろ姿が見えた。


側に控える小姓が先に気づき、
「お市様…。」と声を掛けて、お市の方を向き直り頭を下げた。

「ん?市か?」
兄は気怠そうにゆっくり私の方を振り返り、

お市を真っ直ぐに見つめて、
「どうした?」
と聞いた。

「あっ…あの…」
真っ直ぐな視線は、すべてを見透かされているような気がして、お市は口ごもってしまった。

兄は非常に短気だ。
すぐに答えなければ兄の機嫌を損ねてしまい、すべてが水の泡になってしまう。

「あの…お兄様のお部屋から見える桜がとても綺麗と伺おりましたので、見に行きたいと思っていました。ちょうどお兄様の部屋にささを運ぶ侍女をみかけましたものですから、私が代わりにと。」

「そうか。」

こっちに来いとも、一緒に見ようとも言わない。
元来、兄はそういう人なのだ。

それっきり背を向けて、また桜を眺めながら黙々と酒を飲んでいる。

お市は自分から、
「お兄様、失礼します。」
といって、兄の隣に座りに行かなければならなかった。

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