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恋する妻が母になって
第1章 ただいま
「じゃあ、ヨウを寝かせてる」
「うん、お願い…後でね!」
郁は幼くなった顔で、今度は笑顔でウインクしました。その後ろから悠がこちらに顔を向け、頭を下げました。浴室の扉が閉まるとすりガラスの向こうで、火照った裸体の郁が浴槽に入りました。手を伸ばす悠と郁のシルエットがひとつになり、浴槽の中で動いています。僕はしばらくの間、視線を外せませんでした。

「パパっ!」
いつの間にかヨウが脱衣場に戻って来て、いきなり浴室の扉を開きました。浴槽のふたりは抱き合ってキスしていました。しかし慌てる素振りもなく、抱き合ったまま平然と振り返りました。ふたりは頬を寄せ、ヨウに笑顔で手を振っています。

「ママ、ゆうにいちゃ…なかよし!」
ヨウはふたりを指さすと笑顔で僕に話しかけました。僕は動揺を隠してヨウを抱き上げると脱衣場の扉を閉め、寝室に向かいました。寝室にはヨウの寝る準備がすべて整っています。僕はオムツとパジャマを着せ、お茶を飲ませました。そしてベビーベッドに寝かせるとその横に座り、ヨウが選んだ絵本を読み聞かせました。

しばらくするとヨウは寝息を立て始めました。僕はエアコンの効いた室内の温度を確かめ、小さなブランケットをヨウに掛けました。ヨウはすっかり眠ったようでした。

「お先でした…」
ブリーフ一枚の悠が寝室を覗き込み、僕に小さく声をかけました。ヨウが眠っていることを確認すると僕に風呂を勧めました。僕と交代で悠がヨウを見守ってくれます。

「郁はまだお風呂?」
「はい、お姉はお兄さんを待ってます」
悠は郁と仲良くなり始めた頃から、今もずっと郁をお姉と呼びます。それは僕やヨウの前でも同じです。僕はヨウを悠に頼み、浴室に向かいました。脱衣場だけでなく、浴室の扉も開いていました。脱衣所に入ると、ムッとした空気が流れていました。

「ヨウくん、寝た?」
「うん、寝たよ…」
「今日、悠とずっと遊んでたから疲れてるよw」
笑いながら頷き、脱衣所で僕も裸になりました。郁は裸のまま浴槽の端に腰掛け、髪をトリートメントしていました。
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