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恋する妻が母になって
第2章 浮気じゃないよ…
「あっ、うんっ…」
「…お姉、気持ちいい?」
「あんっ、いい。悠、好き…」
意を決して向かった寝室のドア越しに、ふたりの息遣いが小さく漏れ聞こえています。僕は郁のバスタオルを腰に巻き、寝室の前の廊下で耳を澄ませていました。

「オレとヨウ、どっちが好き?」
「…どっちも…あんっ、どっちも好きっ!」
「オレも…お姉とヨウ、大好きだよ…」
「いいっ、あっ…もう、いくっ…」
一瞬、郁の声が大きくなり、ベッドの軋む振動が廊下まで伝わっています。郁の声が低く小刻みになると、小さな叫び声が聞こえました。

「あっ、あっ…悠、あうっ、いい…」
「お姉、いって!」
「うんっ、悠…悠、好きぃ…お姉…郁、いっくぅ…あうっ!」
郁の絶頂の声が響き、ベッドの軋む音が止みました。そして僕はやっと寝室のドアを開けることができました。

真っ暗な寝室に僕が開けたドアから、廊下の明かりが差し込んでいます。手前のベビーベッドでヨウが仰向けに眠っています。その奥の夫婦のベッドにふたりがいましたが、ヨウのベビーベッドに隠れて脚元しか見えません。少し毛の生えた長いふくらはぎの大きな足に、白く細いふくらはぎの小さな足が絡まっています。僕に気付いている筈のふたりは身動きもせず、荒い息を整えていました。

ヨウは夜のオムツ替えも眠ったままで、よほどでなければ目を覚ましません。特に今日は悠が来ており、昼間に興奮して遊び疲れているはずです。それでも僕はヨウを起こさないよう、明かりは着けずドアを閉めました。僕は真っ暗な寝室で立ったまま、部屋を眺めていました。するとすぐ暗闇に慣れ、カーテン越しに入る街灯のあかりに照らされた室内の様子がわかりました。

ヨウは小さな寝息を立て、ぐっすり眠っていました。その横で背の高い裸の悠が、うつ伏せで郁に覆い被さっています。バンザイするように手を伸ばした郁の白い裸の脇の下から、小さな裸体を後ろから抱きしめていました。初めて見た頃の悠は少し幼く見えるほど、背は高くても華奢な男の子に見えました。しかし今僕の妻を抱いているのは、若い筋肉質な肉体を持つ立派な大人になっていました。
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