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ハッテンlife
第2章 マッドサイエンティスト編
名前…なんだっけ?

「放課後、残ってよ。僕の化学部に入らない?あ、君に拒否権ないから」
「は?」

なにが拒否権ないだよ、この野郎。化学部のなにが淫乱と関係あんのよ?

眼鏡で表情が見えない謎の化学部員は意味深に笑った。絶妙なタイミングで昼休み終了の鐘が鳴る。
でもその笑みがなんだか気持ち悪かったから、とりあえず俺は話だけでも聞いてみようかなーって思ってみた。


「姫野葉月」

あのキモい男は随分可愛らしい名をもつらしい。
さすが近藤。俺は興味ない、且会話したことないヤツは苗字すら覚えない(さっき会話した女子も下の名前は不明)のに、近藤は気まじめにフルネームまで覚えている。

「有名だよ、姫野は」
「どこらへんが?キモさが?」
「そうじゃなくて、すげー頭いいじゃん。入学式に挨拶したじゃん」

そうだっけ?俺、入学式はガチムチ先輩達の身体観賞に夢中で、あんなひょろい男の挨拶なんて気にしてなかったよ。
入学式の挨拶は、入試で首席のヤツがするらしい。

「でも、俺らが通うようなバカ学校に首席で入るより、他のもっといい学校行った方がよかったんじゃねーの?」

余計なお世話かもしんないけど。

「インフルエンザで私立受けられなくて。それで安全圏で家から近いここになったらしいよ」

ふーん…。そりゃ運がないことだな。

今は英語の授業中です。俺らは席が後ろの方だから無駄話し放題。
隣の女子はずっとlineやってるし。


「じゃあp32の頭から、姫野くん読んでみて」

英語教諭が姫野を指名する。もっさりとした前髪をかきあげることもせずに、姫野は立ち上がる。
よくあの前髪で教科書読めるなぁ。視界に入るのかなぁ。なんて関係ない俺が心配になっちゃうよ。
でも姫野が読み始めたらおおーッと鳥肌が立った。
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