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ハッテンlife
第2章 マッドサイエンティスト編
☆★☆


化学室は校舎の一番外れにあって、日の当らない部屋だった。
棚にはビーカーやフレスコといった定番の実験道具が陳列してあるのはいいんだけど、俺の大っ嫌いな人体模型も堂々と真ん中に鎮座している。
不気味だ…。

窓際には金魚や熱帯魚の水槽がある。
姫野はまず、その水槽にぱらぱらと餌をまいた。

「そんで、俺に拒否権ないってどーいうこと?」

不気味な部屋で気持ち悪いから、俺の口調も険呑なものになる。学校ではいつも穏やかでいたいのになぁ…。

姫野はわざとらしく眼鏡のフレームなんか指で押さえちゃって、どこかの物理学者のようなポーズを決めて、ニヤッと笑った。

「僕、先週も、先々週もいたんだよ。アソコ」
「アソコ…?」

アソコ…アソコ…。
こいつが言うとあんまり卑猥じゃないな、その単語。

「わからない?」

眼鏡がキラーンと光る。人体模型に劣らず、姫野の表情は不気味だ。

「…狂楽の湯。君、い、た、よ、ね?」

バサー……。
手から鞄がずり落ちる。

俺ってばシラを切ればいいのに、動揺を隠せずベタな反応やらかしちゃった。
でも心臓がグワングワンバクバク言ってて、シラを切る余裕なんかねーし。

そうそう、あのハッテン場。正式名称は「狂楽の湯」っていうんですよ。



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