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ハッテンlife
第2章 マッドサイエンティスト編
じーっとよく見てみたけれど、どっちも世話が行きとどいているのか、適度に丸みがあって鱗が綺麗な赤と白の金魚だった。
水槽の濁りもなく、水草もまた美しいことよ…。

「どっちも可愛いな」
「君はどっちがより美しいと思う?」
「どっちも」
「それじゃ答えになってないじゃないか」

フン、とつまらなそうに鼻で笑って、今度は熱帯魚の水槽も同様に見せる。

「この二槽はどっちが美しい?」
「…どっちも」

俺にそんなもんわかるわけねーじゃねーかよー!
脅してまで俺にやらせたいことって、まさか魚の餌やりだったりして。
そのくらいならやってもいいけど。どうせ暇だし。

「このストレリチアを見てくれ。よくある観葉植物だが、他のものと比べて色、艶はどうだ?」
「いや、俺んちそんな植物ないからわかんね…」

姫野が化学室の棚に飾ってある植物を見せて成果を訴えるけれど、俺はよくわかんないや。

「もう!なんで君はそう鈍感なんだ」

大げさに肩をすくめ、姫野はニヤニヤ笑いながら机の上に発明品とやらを並べた。

「右側の金魚の水槽には僕特製のこの餌を与えてある。色、艶が絶品だろう?そのうち不老不死になる金魚の餌も考案してみようかと思ってるんだ」
「ほ、ほぅ…」
「少しタイプを変えたこのタイプは熱帯魚の餌。熱帯魚は金魚よりも繊細なところがあってね。水代えの時はこの僕特製の浄化エキスを使ってるんだ」
「へ、へぇ……」

なんかよくわかんないけど……。
不老不死の金魚ってなんか意味あんの?

「植物にも僕が発明した栄養剤を与えている。そのうち種から開発もしてみたいね。これから食料危機が起こった時に干ばつに強い食料を作れたら最高じゃないか」
「そ、そうだね…」


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