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夜来香 ~若叔母と甥の危険な関係~
第17章 隠し事
僕は伝えたいことを伝えたと席を立った。

「待ってください…ほんとにちゃんと憶えているのですか?……悩んで手が止まっては困りますよね?……」

しっかりと憶えていた。
叔母と先輩の女性器は目を瞑っていても描ける自信があるほどだ。

【部長は僕が憶えていないなんて本気で思ってるのか…】

僕はなんとなく察した。

「そうですね…でもアトリエは使えないんですよね?…」

学校帰りにどこか二人きりで…しかも絵を描ける所なんて思い付かない。

「アトリエは無理でも私の部屋なら…両親は遅いですから…家政婦だって用がなければ私の部屋には近づきません……今からならけっこう時間は……」

「部長…ありがとうございます…お願いしていいですか?…」

「はい……」

僕達は少し時間をずらして学校を後にした。


陽翔が始業式の日に私は新田涼華とカフェで会っていた。

「この前はごめん…あんまりちゃんと聞いてあげれなくて……」

「チーフ…やっぱりしてたんでしょ?……」

「違うって…ちょっと姉の家に行ってたから……それとほんとにチーフはやめて……」

「じゃ、社長って呼びますね……」

私は驚くというより呆れていた。
何を根拠に私を社長呼ばわりするのか見当もつかない。

「新田…バカなの?……」

「ひどいな…私は本気ですよ……ねぇ、神埼さん…私と…いえ…私達と会社創りませんか?……」

アイスコーヒーをテーブルに戻した新田はようやく真剣な顔で私を見た。

「はぁ?…なによいきなり……」

「いきなりじゃありませんよ…私…けっこう今の会社嫌いなんで辞めるんです…あ、因みに今は有休消化中ですよ……」

辞めたと言わないところが的確だと思った。

「川上さんも言ってましたよ…神埼さんが起業してくれたらついて行くのにって……」

以前そんなこと言われた記憶はあった。

「あんなの本気なんかじゃ……」

「けっこう本気なんですよ……まぁ、私が社長でもいいんですけど…ほら、求心力ないし…まだ子供がちっちゃくて……」

「元手だってないし……」

言い訳を探す私に新田ははっきりと言う。

「私が産休中のこと聞きましたよ…悔しくて辞めたんですよね……」

「はぁ…まったく…忘れようとしてたのに……」

私は真っ直ぐに新田を見つめ返した。

「ようやく話を聞いてくれる気になったみたいですね……」
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