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夜来香 ~若叔母と甥の危険な関係~
第19章 懺悔
私は駅を出ると纏めていた髪を解いた。
ふさっと髪を肩に乗せて歩き出す。
ハローワークや役所、紹介してもらった弁護士事務所を回ってとりあえず必要な書類を持って帰ってきた。
まだ日は明るい。
人通りも駅前は多かった。
それでも夜、家を出るつもりはないとデリも買ってきた。
私は足早にマンションへと向かった。

「来たぞ…俺が行けと言ったらマンション前に車を寄せろ…いいか、慌てるなよ…普通だ、普通でいいんだからな…」

女が颯爽と歩いてくる。
両手に荷物を持っているのは蓆ありがたい。

「いいぞ…行け…」

「了解…」

【よかった、無事到着……?…宅配業者?……】

私は停車しようとする車に一瞬視線を送るとマンションの正面玄関に視線を戻した。

ガラッと開いたスライドドアの音になんとなく振り向いた。

「いやぁっ…離してっ…」

離して…の声は既にハコバンの中で響いていた。

「よし出せっ…」

車は男の声を合図に走り出していく。
しっかりとお腹を抱えられたまま相手を見た。
はっきりと顔は見ていなかった。
だがそのしゃがれた声は紛れもなく、あの夜の男のものだった。

「もう来ないとでも思ってたのか?…」

「離してっ…なんなのあんた達っ…離してっ…車止めろって……」

もがいても、肩を叩いても力強い男は離してくれない。

「綺麗な顔して、ずいぶん気は強そうなんだな…」

「うるさいっ…わかってんの…犯罪だって…警察呼ぶからっ……」

男は怯むこともく暴れる私を意図も容易く羽交い締めにした。

「この前も言っただろ…ちゃんと説明してやるよ…」

【だめだ…もうコイツは俺のもんだ…笑いが抑えきれん…】

「知らないって…あんた達なんか知らないって言ってんだろっ…離せって…」

「くくっ…おとなしくしろって…藤沢陽翔くん…知らないわけないよな?…」

「えっ……」

私は凍りついた。
もがいた身体をただ強ばらせる。

「お前達…ほんとになんなだよ……」

「だから説明してやるって言ってるだろ…」

「健人ってヤツに頼まれたのか?…」

私はそれしか思いつかなかった。

「はぁ?…誰だ、そいつ…」

男はポケットからスマホを取り出すと、私の前にちらつかせた。

【ぁぁ…またか…結局こういうことになる……】

どこで手に入れたか知らないがその画像には私と陽翔が写っていた。
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